【サプリメント】とはなにか?万能なものではない!? デメリットは頭痛や下痢だけじゃない?組み合わせは効果なし?

効くどころか健康被害が相次ぐサプリ!?

「まさか…」

社会に衝撃を与えた紅麹サプリの問題。

今、日本人の3割もの人が摂取していると言われる、薬局などでも気軽に購入できるサプリメントですが、手軽に栄養補給や健康維持が「期待」できるものです。

私自身サプリは購入しないタイプなのですが、ある商品を購入するとサービスで貰えたりして、なんとなく期待して飲んでたりします。

サプリメントの表現として、この「期待できる」という言葉が、そもそも怪しい…という感覚になってしまう人もいるのではないでしょうか?

実は日本よりも海外のほうが厳格な仕組みで安全性を担保、表示をしていると言います。

市場調査会社アンテリオが各世代の男性を対象に行った将来不安に関するアンケートによると、20~30代の1位が「収入や資産」だったのに対し、40~60代は「自分の健康」がトップでした。

 

40代から高まる健康不安

男性が将来にたいして不安に感じていることランキング

 

         1位       2位        3位
10~30代   生活上の問題    生活設計      不安なし

        収入や資産     生活上の問題    生活設計

                            家族の健康

 

40~60代   自分の健康     収入や資産     家族の健康

                  家族の健康     生活設計

                            収入や資産

 

これによって、40歳前後から健康が最大の懸念になることが分かりますが、そんな健康に期待できるサプリメントによって、逆に健康を害される…または、命を落としてしまった人がいる問題を考える必要があります。

日本の、しかも大手の会社の製品だから安全、安心…

今回の紅麹サプリの問題で浮かび上がってきたものとは、一体何なのでしょうか?

そして、サプリメントと上手な付き合い方を考えていきましょう。

 

記事の内容

 

健康ブームの死角とは?

「このさき、どんな症状が出るかも分からないわけですよね。それが1番怖いかな?と思います。」

小林製薬の紅麹サプリメントを1年以上にわたって飲んでいた、60代の女性。

今年4月に突然、腎臓病と診断されました。

「これが1番大事なの」

この女性が指さすものは、ステロイド剤。女性はこの服用を余儀なくされ、医師からは「腎臓の機能は元には戻らないかもしれない。」とつげられました。

女性は「一応信用して買っている訳で…健康になるために。もっときちんと管理なり製造なりをしてくれたらなっていうのはありますよね。」

 

今年3月に発覚した小林製薬の紅麹サプリの問題。5人の死亡が報告されています。

紅麹原料の製造設備から、青カビが検出されるなど原因究明は今も続いています。この問題をきっかけに「機能性表示食品」制度の課題も浮き彫りになってきました。

政府は新たに製造管理のあり方や、健康被害の報告体制について対応方針を打ち出しました。

専門家は「今の日本の制度が、本当に国民の健康増進に役立っているのか?見直しをする必要がある。」と話していました。

健康志向が高まるなか、私たちのくらしに身近な存在となったサプリメント。

市場規模は1兆円を超えています。その中に、どんな死角があったのでしょうか?そして、サプリメントとどう付き合えばよいのでしょうか…

 

健康食品の摂取で不健康に!?

最近は少し落ち着いてきましたが、メディアには健康法に関する書籍や健康食品の広告が少なからず氾濫していますが、「サプリを飲めば痩せられる」など、間違った常識も広がっています。

今や5600万人が利用していると言われる健康食品・サプリメントの国内市場規模は、約1兆5600億円。

2015年春に機能性表示食品制度が始まり、メーカーが科学的根拠を国に届ければ商品のパッケージや広告に健康効果を表示できるようになりました。

「内臓脂肪を減らすヨーグルト」など、健康機能をうたう商品が続々と登場。

制度開始から3年足らずで品目数は1200を突破し、特定保健用食品(トクホ)を上回ったのです。

ですが、こうした健康食品によって私たちの健康状況は目に見えるくらいハッキリとした形で改善されたのでしょうか?

インテージの調査では、健康食品の効果を明確に感じている人はなんと、たったの1割しかいないのです。

 

健康食品・サプリの効果

(出所)インテージ「健康食品・サプリメント+ヘルスケアフーズ市場実態把握レポート2017年版を基に作成。

 

国立健康・栄養研究所のデータベースによると、多くの健康食品は効果の根拠があやふやだと言います。

効果を感じた人についても「ほとんどの場合はプラセボ効果(効くと信じて摂取することによって得られる)だろう。」(東京都医師会の尾崎治夫会長)という指摘もあります。

さらに注目すべきデータは、健康食品で体調を崩すなどした危害情報の件数が、2015年度の898件から16年度は1866件に急増しているのです。

バストアップをうたうサプリのメーカーなどに対し、厚生労働省が販売を中止するよう通知する事態も発生。

企業の宣伝文句をそのまま信じて健康食品に頼っては、かえって健康被害になりかねません。

健康の大前提はあくまで規則正しい食生活と運動、そして睡眠の3要素なのです。

 

サプリが食品であるがゆえの安全性の死角だった?

みなさんはサプリは病気を治す薬ではなく、分類上は食品という事実を知っていたでしょうか?

今回問題となった小林製薬の紅麹サプリは、サプリメントの中でも効果を商品に表示できる「機能性表示食品」と呼ばれるもので、その効果を期待して多くの人が口にしたヒット商品でした。

厚生労働省の会見では「腎臓の一部が変性壊死した。プベルル酸が原因である可能性がある。」

厚生労働省は紅麹原料から検出されたプベルル酸など、3つの物質について最新の調査結果を発表しました。

プベルル酸を作る青カビを、紅麹原料の培養タンクのフタなどから検出。

培養段階で青カビが混入したと推定されるとしたのです。

また動物実験では、プベルル酸には腎臓の細胞を壊死させる毒性があることも確認されました。

紅麹原料の製造ラインがあった大阪工場では、培養室や試験室など、5つの部屋の壁や天井、器具などで確認されました。

この青カビが作ったプベルル酸が、多くの被害を出した原因だったのか?他の可能性も含めて、今後も調査が続く見通しです。

 

想定しない物質が混入したまま、市場に出回った紅麹サプリ。なぜ出荷前に異変に気づけなかったのでしょうか?

小林製薬や経営幹部が口を閉ざす中、NHKは紅麹事業に関わっていた人物から証言を得ました。

浮かびあがったのは、サプリメントが食品であるがゆえに生まれる、安全性の死角でした。

食品のなかには一般的に多くの成分が含まれていて、紅麹の培養過程でもさまざまな成分が作られます。

その検査の体制などについて機能性食品制度では、厳格な基準を義務付けていません。

紅麹事業に関わっていた人物の証言では、

国から網羅的な成分検査を求められていたわけではなかった。すべてを調べるには会社の負担も大きく、現実的にはむずかしかったと思う。

 

小林製薬は

検査は有効成分の量などに限られ、想定外の物質には気づくことができなかった。原因究明に協力するとともに、信頼回復に全力で取り組む。

としています。

 

NHKが取材を進めると、青カビの混入を見抜くことの難しさも分かっていました。

長年、紅麹の研究を続けている琉球大学の橘 信二郎准教授です。

あらかじめ紅麹菌を2週間くらい培養して、青カビを意図的に植え付けて培養したもの

があります。

実験では、培養中に少量の青カビが混じったケースを想定。

まず2つのフラスコに蒸した米と紅麹菌を入れ14日間培養し、その後片方に青カビを途中で加えて比較しました。

実験の結果、いずれも黒みがかった赤色で見た目では違いが分かりません。

橘准教授:見た目はほぼ両方とも一緒です。

しかし、青カビを入れたほうをシャーレに移すと、青カビが生きていることが確認されました。

 

橘准教授:おそらく紅麹菌が作った何か代謝物が青カビの色をつくらせなくさせたので、見た目上、分からなくなってる。

出来たときに、ちゃんと成分分析をして網羅的に調べる。今後、検討はしていかなきゃいけないと思うんですね。

 

さらに今回、制度上の死角となっていたのが健康被害が疑われた場合の、企業の対応です。

小林製薬が最初の会見を開いたのは3月22日。健康被害について医師から初めて連絡を受けてから2ヶ月以上も経っており、被害拡大の要因になったと指摘されています。

国の方針は?

機能性表示食品に関するガイドラインでは、健康被害については「入手した情報が不十分であったとしても、すみやかに報告するのが適当」としています。

しかし、義務はなく強制力もありませんでした。

今回の事態を受けて国は、健康被害情報の報告義務化や違反した事業者に営業禁止や停止の措置を取ることを可能にする方針を示し、制度の見直しを進めています。

 

問題発覚から2ヵ月、長引く健康被害

小林製薬が事態を公表しなかった2ヶ月あまりの間、何も知らずに紅麹サプリを飲み続けた人は少なくありません。

病院にやってきた治療中の60代の女性は、テレビでニュースを見るまで毎日かかさず紅麹サプリを摂取していました。

腎臓の一部の細胞が壊れ、もう元には戻らないかもしれないと医師からつげられました。

医師は「ちょっと後遺症を残す可能性が高いよっていう。だいたい普通の人の45%ぐらいの腎機能で止まっちゃってる感じかなと。」

旅行を趣味にしてきたこの女性。定年を迎え、これから家族と一緒にいろんな場所に出かけるのを楽しみにしていました。

さらに悪化すれば、人工透析が必要になることもあると、言われています。

 

女性は「やっぱり軽く考え過ぎていたのかなと思いますね…サプリを。全然悪くない腎臓が急に悪くなったわけじゃないですか?1月でしたっけ?いちばん最初。その時点で発表はして欲しかったですよね。」

 

紅麹サプリを飲んだ患者を20人以上診察してきた日本大学 医学部の阿部雅紀主任教授は、問題の公表に時間がかかったことで腎臓への影響がより深刻になったのではないか?と考えています。

 

阿部主任教授:慢性腎臓病という状態になっている患者さんも、何人かいらっしゃいます。やはり服用期間が長ければ長いほど、やはり腎機能障害の程度はひどいと思います。

 

見過ごされたリスクとは?

早く発表して欲しかったという被害者の切実な声を聞きました。なぜ報告は遅れたのでしょうか?

今回のケースでは、小林製薬は因果関係が分からなかったため公表するまで時間がかかったとしているんですが、ここにサプリメントの死角があるのです。

もし健康被害が薬によるものだった場合は、企業や医療関係者が報告する義務があります。

迅速に情報が共有されて、被害の拡大を防ぐ仕組みがあるのです。

一方でサプリメントの場合は、食品という扱いになるので原則こうした義務はないために、小林製薬の報告が遅れた可能性があるのです。

サプリメントとは、そもそも何を指すの?

実はサプリメントの明確な定義というのはないんですが、消費者庁などの議論ではカプセルや錠剤、粉末や顆粒形態の健康食品としていて、天然食品から成分を抽出したものなどとされています。

この成分を濃縮したものすべてを指すといったような指摘もあります。

例えばビタミンをたくさん摂りたいときに、野菜でしたら山盛り食べないとだめですよね?

ですけど、サプリメントでしたら何錠とか飲むことで済むと。手軽で効率的なんです。

 

サプリの摂り過ぎのリスク

ただ一方で、摂り過ぎによる思わぬリスクというのも潜んでいるんです。サプリメントはあくまでも健康な人がそれを維持するために摂るものなんです。

ちなみにサプリメントを含む健康食品は、国の制度でこのように分類されています。

まず、国の厳格な審査を受けたうえで効果をうたえるトクホと呼ばれる特定保健用食品。

①特定保健用食品「トクホ」(1991年~)

(国の審査あり。許可に行ってのハードル)

そしてビタミンやミネラルなど、特定の栄養素を含むものに限られる栄養機能食品。

②栄養機能食品(2001年~)

 

さらに、企業の責任で効果を表示できるのが機能性表示食品です。

③機能性表示食品(2015~)

(国の審査なし。企業の責任)

 

これら3つにどれにも当てはまらないものもありまして、いわゆる健康食品と位置付けられています。

健康食品

 

小林製薬の紅麹サプリは、③の機能性表示食品でした。

 

医師や研究者が「効果あり」と太鼓判を押すサプリは〇〇?

これは結論から言うと、ビタミンとミネラルです。

皮ふや粘膜の健康維持を助けるビタミンCや、骨や歯の形成に必要なカルシウムなどは「有効性の根拠がハッキリしている」(国立研究・栄養研究所 健康食品情報研究室の千葉剛室長)

生活リズムの乱れなどで、特定の栄養素が不足しがちな人に有効だ。

ただし摂り過ぎは禁物。

農林水産省はビタミンAの過剰摂取は急性の腹痛や嘔吐、慢性の頭痛や骨粗鬆症などのリスクがあると注意を喚起しています。

おない内科クリニックの院長で日本サプリメント評議会の委員を務める小内亨氏は、「サプリメントは成分が凝縮されており、形状も小さいため過剰摂取になりやすい」と指摘します。

イメージ画像

 

一方で、国が安全性と効果を商品ごとに審査するトクホ。

国のお墨付きがあるものは効くと思いがちだが、その効果については誇張も多い。

全トクホのおよそ3分の1に水溶性の食物繊維である難消化性デキストリンが含まれる。メーカーは難デキが脂肪の排出量を増やすという論文などを基に、「血中中性脂肪の上昇をおだやかにする」といった効果をうたっている。

だが、群馬大学名誉教授の高橋久仁子氏はこうした実験結果に疑問を投げかける。

難デキを1日15g、10日間摂取し続けても、1日の摂取脂質量55gにたいして脂肪排出量は0.67gしか増えない。

 

千葉氏らが2015年に発表したトクホの利用実態調査によると、食生活や運動習慣を改善せずにトクホの効果を実感した人は、1277人中85人しかいなかった。

 

●他にもあるトクホ効果の誇張法!?

・不都合な実験結果など、デメリットを隠す。

・肥満など特殊なケースの被験者を採用。

・飲む・食べるだけでよいと思わせる広告。

 

一部メーカーの広告は、油たっぷりの食事を摂ってもトクホを飲むだけで痩せられるかのような印象を与えている。

ただ、生活習慣の改善が、トクホ利用の大前提であることを忘れてはならない。

 

サプリMAP

〖効果あり〗(不足しがちな人には有効)

 

●ビタミン

ビタミンA:夜間の視力維持、皮ふや粘膜の健康維持を助ける。

ビタミンB1・2・6:皮ふや粘膜の健康維持などを助ける。

ビタミンB12:赤血球の形成を助ける

ビタミンC:皮ふや粘膜の健康維持を助ける。抗酸化作用を持つ。

ビタミンD:腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける。

ビタミンE:抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける。

ビタミンK:正常な血液凝固能を維持。

葉酸:赤血球の形成を助ける。胎児の正常な発育に寄与。

 

●ミネラル

亜鉛:味覚を正常に保つのに必要。皮ふや粘膜の健康維持を助ける。

カリウム:正常な血圧を保つのに必要。

カルシウム:骨や歯の形成に必要。

:多くの体内酵素の正常な働きと、赤血球や骨の形成を助ける。

マグネシウム:多くの体内酵素の正常な働きとエネルギー産生を助ける。骨や歯の形成と、血液循環を正常に保つのに必要。

:赤血球を作るのに必要。

 

●ほとんどがデータ不十分!

〖効果不明〗

      成分     うたわれる主な効果   根拠

〖美容・  青汁     便秘解消、       データが十分に見当たらない

ダイエット〗         ダイエット  

     

      酵素     ダイエット、      消化管で作用する以外の酵素

             健康維持        が機能する可能性は極めて低い

                          

 

      ココナツ油  便秘解消、       データが十分に見当たらない

             ダイエット

 

      コラーゲン  美容。骨・関節疾患に  データが十分に見当たらない

             伴う症状の 緩和

 

      水素水    活性酸素を除去、    データが十分に見当たらない

             ダイエット 

     

      ヒアルロン酸 関節痛を和らげる、   経口摂取では十分なデータが

             美肌効果        見当たらない

 

      プエラリア・ 豊胸、若返り、     データが十分に見当たらない

      ミリフィカ  強壮          有害事象の報告あり

 

      プラセンタ  更年期障害、      データが十分に見当たらない

             美容

 

〖脂肪・脳〗葛の花由来  脂質代謝の改善     食品素材としては、データが十

      イソフラボン             分に見当たらない

                       

      DHA     中性脂肪を低下     トクホの審査で認められている

              認知症の症状低減、   データが十分に見当たらない

              脳の発達の向上

 

      イチョウ葉  ボケ予防など       経口摂取で効果がないことが      

      エキス                 示唆

 

関節〗  グルコサミン ひざ関節痛        データが十分に見当たらない

      塩酸塩  

 

      グルコサミン 関節の動きを滑らかに   骨関節炎におそらく有効。

      硫酸塩                 重篤で慢性的な痛み緩和には

                          効果がないことが示唆

 

視力〗  ビルベリー  夜間視力の改善      効果がないことが示唆  

 

      ルテイン   目によい、抗酸化作用  サプリメントとして摂取した

                         場合に効果があるかどうかは

                         不明

 

疲労〗  黒酢     疲労回復、血圧低下   データが十分に見当たらない

 

      コエンザイム 疲労感緩和、シワ軽減  データが十分に見当たらない

      Q10

 

免疫〗  アマニ油   アレルギー緩和     データが十分に見当たらない

 

      マヌカハニー 免疫機能の向上     データが十分に見当たらない

 

      ローヤルゼリー花粉症緩和       データが十分に見当たらない

 

肝臓〗  ウコン    肝臓の機能を向上    データが十分に見当たらない

 

      シジミ    肝臓に効く       データが十分に見当たらない

 

 

「まずい~!もう1杯!」というCMのフレーズで大ヒットした、便秘解消やダイエットによいとされる青汁の有効性を示すデータは、「調べた文献の中に見当たらない」(健康・栄養研)。

それどころか、消費者庁のデータバンクによると、下痢やじんましんなどの事故情報が15年から3年間で300件以上も報告されています。

同庁消費者安全課の藤田佳代企画官は、「青汁の事故情報は注視しているが、何が原因か?不明なため、現時点ではどのように注意を喚起してよいかわからない」と頭を悩ませる。

青汁には数十種類の原材料や成分を含む商品もあり、「成分同士が相互作用して体調不良を引き起こす可能性もある」(東京都医師会の尾崎治夫会長)

青汁大手のアサヒ緑健は、「相互作用は特に調べていない」という。

 

青汁と同じく多くの成分を含み、ダイエットや老化防止に効くとうたわれている「酵素」も問題アリだと言います。

「万田酵素」や「生酵素」「お嬢様酵素」といった多様な商品があり、ユーグレナの子会社も「みどり酵素」を販売している。

だが、そもそも「食品に含まれる酵素はタンパク質と同様、食べると分解されてしまう。消化酵素など一部の例外を除き、機能する可能性は極めて低い」(千葉氏)。

また、国民生活センターによると、酵素食品に関する下痢などの危害情報は15年度に190件あり、16年度は534件に倍増した。

 

関節痛などの軽減効果をうたい、人気の根強いグルコサミンには成分が2種類ある。

このうちグルコサミン塩酸塩については「データが不十分」(NMCD)。

グルコサミン硫酸塩は、「重篤で慢性的な骨関節炎の痛み緩和には効果がない」(健康・栄養研)ようだ。

サントリーウエルネスは、コンドロイチンなど他の成分と組み合わせた商品を機能性表示食品として販売しているが、「組み合わせることで効果が高まるとの裏付けはない」(NMCD)。

 

豊胸サプリでホルモン異常

「プエラリアミリフィカは、女性ホルモン(エストロゲン)様物質を含むため、生体内に影響を及ぼすおそれがあります。

(不正出血、月経不順。)

また、肝障害のある方の症状が重篤化するおそれがあります」

 

健康食品・サプリ大手のデーエイチシー(DHC)のホームページには、赤字で衝撃的な文言が掲載されていた。

バストアップや若返りなどの美容効果をうたい、10~20代の女性に人気のプエラリア・ミリフィカ(以下、プエラリア)。

だが、国民生活センターはプエラリアを含む健康食品に関して、

「生理が2ヵ月も遅れて心配」

「バストに発疹がでた」

といった危害情報が12年以降、200件超も寄せられていると発表。

「ホルモンバランスが崩れるなど、思わぬ健康被害が発生するおそれがある」として、安易な摂取を控えるよう注意を喚起した。

事態を重く見た厚生労働省や消費者庁は、メーカーにたいして製品の安全管理や消費者への情報提供を改善できなければ、販売を中止するよう通知しました。

メディアハーツやFORDELソリューションズなどの企業は、通知の前にプエラリアを含む商品の販売を終了。オリヒロも終売予定だと言います。

 

 

サプリによる健康被害はこれまでにもあったの?

小林製薬の紅麹の問題では、異物の混入が原因だったとみられていますが、サプリメント全体で見れば混入とは別のリスクを指摘する声もあるのです。

例えば国の研究班の調査では、サプリメントなどの健康食品が原因とみられる重い肝炎の報告があることが分かっています。

(サプリメント・健康食品が原因とみられる急性肝不全は43人(うち死亡10人)

これは特定のサプリが原因ということではなくて、飲んだ人の体調ですとかアレルギーなどの体質との兼ね合いもあると考えられているのですけれども、こうしたことは通常の食品では見られないんです。

調査をした医師は、サプリメント特有のリスクを指摘しています。

埼玉医科大学病院 消化器内科・肝臓内科の持田智教授は、

「サプリメントにはいろんなものが含まれているし、成分をどういうふうに凝縮するか?すべてが肝障害の原因、特にアレルギー反応の場合はすべてがその候補になりうるんですね。ですから、普通に自然に食べているものと、薬として、あるいはサプリメントとして人工的に作ったものはやっぱり違うと考えたほうがいいと思います。

自分の身を守るためにも、飲み始めて最低でも1ヶ月目ぐらいのところで、チェックしていただきたい。」

 

これまで飲んでいるサプリメントを飲み続けても大丈夫なの?

健康被害の報告というのはサプリメント全体では、数は多くないんです。

ただ、一般的な食品よりは注意が必要です。

少なくとも体に異変を感じた場合は、速やかに飲むのをやめてほしいと思います。

 

機能性表示食品の制度そのものが抱える課題とは?

先月開かれた、国内最大規模の健康食品の展示会、ヘルスフードエキスポ。

20年以上続くこのイベントに、今年初めて機能性表示食品を集めたエリアが設けられました。機能性表示食品の制度が始まって9年の間に、企業からの届け出の件数はおよそ25倍に拡大。

市場規模は今や6865億円を超えています。

この制度は、アベノミクスの規制緩和をきっかけに始められました。(2013年)

当時、すでに始まっていたトクホでは国の審査が必要なため、市場に出回る商品は限られていました。

そこで届け出さえすれば国の審査なく、企業の責任で機能性の表示を可能とし、食品産業の活性化を図ったのです。

 

機能性表示食品の届け出には、「研究レビュー」と呼ばれるものが使われます。

成分の機能性に関する論文や研究を世界中から集め、科学的根拠を評価したものです。

研究レビューがあれば、コストのかかる臨床試験などを自社で行うことなく、届け出を進められます。

そのため、機能性表示食品の届け出の9割以上で研究レビューが使われています。

 

ある企業の社長は、紅麹の問題を受けて、

「やっぱり本当の人の口に入れた状態での結果を情報として持っておくほうが、安心して(商品を)出せるんじゃないかなと思いますし。

消費者庁の求めること以上の負の部分のリスクも想定しながら、あらゆる分析をしていく必要があって、自分たちが納得して本当にお客さんに世に出していいものか?っていうことを実証しない限りは、(機能性表示食品に)申請するつもりはないと思っています。」

 

病気に効果があるよう印象を与える表現は正しいのか?

機能性表示食品を扱う企業が増える中、すでに問題が顕在化していると考えるのは、食品機能研究所 代表取締役の勝田徹さんです。

勝田さんが懸念しているのは、表示のあり方だといます。

例えば、「認知症改善」と書かれたもの、含まれる成分は記憶力に関わるとしていますが、認知症の効果があると表記することは、本来できないとされているのです。

勝田:どんな機能があるのかを書くと、売り上げは倍になる。

だから無理しちゃう会社があるかもしれないし、食品の安全と品質と表示、これに

たいする責任は全部自分たちにあると。

そういう覚悟がない会社が増えてきていることは、ちょっと心配は心配ですね。

 

機能性表示食品の市場拡大を支えてきた、研究レビューの質が劣化しているという指摘もあります。

信頼性が極めて低いとされた研究レビューが、40件中38件もあったと言います。

今年2月にあるグループが発表した研究では、32の論文を調査。そのうち、少なくとも8件で結果が誇張されて広告などに使われていたと言います。

 

どのような表示が問題になるの?

専門家がよく指摘するのは、このパターンです。

まずは、「虚偽・誇大」や「優良誤認」

これは「必ず」や「絶対」など、効果を断定している表現は問題となる可能性が高いとされます。

次に「薬」のように疾病の治療や予防と誤認させる表示です。

これは「改善」という言葉だったり「予防」「治療」を目的とする表現は問題となる可能性が高いです。

 

例えば、景品表示法で問題になりそうだと指摘された広告には、このような表現が見られました。

「身長が伸びるのを飛躍的にサポート」

これを飲めば身長が著しく伸びると消費者に誤認させる恐れがあると、指摘されていました。

そして、「腹部すべての脂肪を落とす」というと、「すべての」という言葉が付いているサプリを選んでしまうでしょう。

これは機能性表示食品で見られた広告で、効果をうたい過ぎているという指摘がありました。

 

さらに薬機法で問題になりそうなサプリメントでは、「疲労回復」という文字が見られました。

この表現は薬なら問題はないのですが、食品であるサプリメントでは表記はできないのです。消費者に過度な期待を持たせようと指摘されています。

 

私たちはどういう基準でサプリを選べばいいの?

機能性表示食品の場合は企業の責任で効果を表示しているので、適切な表示をしている企業かどうか?という点もサプリメントを選ぶ基準の1つにしてもいいのかもしれません。

機能性表示食品をより詳しく知りたい場合は、消費者庁のデータベースに効果の根拠となっているデータですとか、資料が掲載されていますので確認することもできます。

 

 

※NHKスペシャル 追跡 紅麹サプリ~健康ブームの死角に迫る~、東洋経済を参考に記事を書いています

 

 

まとめ

EUやフランスでは日本と違って、トクホや機能性表示食品のような分類はないのですが、サプリメントについてはリスクがある、0ではないという前提で制度を作って安全性を担保しようとしています。

コストや労力がかかったとしても、まずは社会の安全性を最優先に考えて制度設計がされているように思います。

日本でも、このような考え方が当たり前になってくれば、今回の紅麹サプリのような問題が無くなるのではないでしょうか。

フランスでは健康被害が発生した際に、実効性のある対策をとるための仕組みも整備されています。

街の薬局では、お客さんがサプリメントを摂取して健康被害が疑われたときに専用のサイトを通じて、国に情報をあげることができるシステムがあるそうです。

アメリカの場合、国民の7割がサプリメントを摂取しているサプリ大国とも呼ばれていますが、その分、健康被害も多いのです。

そこで国が力を入れようとしているのは、「サプリ教育」です。

例えば国が高校生用の教材を提供していて、サプリは薬ではないこと、表示の見方、そして薬との併用のリスクなどを伝えようとしています。

私たち消費者も、きちんと表示を見る目を養ったり、機能性表示食品のリスクを知ることが健康被害を少なくできる方法かもしれません。

 

 

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