小説【あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。】あらすじとﾚﾋﾞｭｰや感想

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小説「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」のあらすじとレビューや感想

『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は汐見夏衛による日本の小説で、戦時中の日本にタイムスリップした現代の女子高生・百合と特攻隊員の青年・彰の切ない恋を描いた物語です。

百合は母親との喧嘩をきっかけに家を飛び出し、目を覚ますと1945年の日本にいました。

そこで出会った彰との交流を通じて、彼女は成長していきます。

この作品は、戦争の悲劇と青春の純粋さを織り交ぜた感動的なストーリーです。

記事の内容

小説「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」のあらすじとレビューや感想

■小説「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」のあらすじ

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小説「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」は、現代の女子高生・加納百合が1945年の戦時中の日本にタイムスリップする物語です。

百合は、親や学校に対する不満を抱え、ある日、母親と口論になり家を飛び出します。

近所の防空壕跡で一夜を過ごした後、目を覚ますと戦時中の日本にいることに気づきます。

そこで出会ったのが特攻隊員の佐久間彰です。

彼は百合を助け、近くの食堂「鶴屋」に連れて行きます。

食堂の女将・ツルや他の特攻隊員たちと共に過ごす中で、百合は彰に惹かれていきますが、彼は特攻隊員であり、彼の運命は戦争によって決まっていることを百合は知ります。

物語は、百合が彰との関係を深めながらも、彼が特攻に行く運命に抗おうとする姿を描いています。

特攻前夜、百合は食堂で隊員たちとの最後の食事を共にし、感情的な別れを迎えます。

最終的に、彰は特攻機に乗り込み出撃し、百合は彼を見送りながら意識を失い、目覚めると現代に戻っていました。

現代では一晩しか経っていなかったものの、彼女の心には彰との思い出が深く刻まれています。

物語の終わりでは、百合が学校で特攻隊員について学ぶ場面が描かれ、その中で彰からの手紙を見つけます。

手紙には「君のことを愛していた」と書かれており、百合は涙を流しながら新たな決意を固めます。

この作品は、愛と戦争というテーマを通じて、人々がどのように生きるべきかを考えさせる感動的なストーリーです。

■小説「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」の作者について

小説「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」の作者は汐見夏衛（しおみなつえ）です。

彼女は日本の作家で、特に若い世代を対象にした作品を多く手掛けています。

この小説は、2016年に「可視光の夏－特攻隊と過ごした日々－」というタイトルで小説投稿サイト「野いちご」にて公開され、その後改題されてスターツ出版文庫から刊行されました。

物語は、1945年の日本にタイムスリップした現代の女子中学生・加納百合と特攻隊員・佐久間彰との切ない恋愛を描いています。

汐見夏衛は、戦争やその影響についての理解を深めることを目的としており、特に若者たちに戦争の歴史を伝えることに力を入れています。

彼女自身が高校教員としての経験を持ち、学生たちが戦争についてあまり知らない現実に直面したことが、作品執筆の動機となっています。

彼女の作品は、特にTikTokなどのSNSで話題になり、シリーズ累計発行部数が100万部を超えるなど、多くの読者に支持されています。

また、2023年12月には映画化もされる予定で、注目を集めています。

■小説「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」の登場人物

小説『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』には、戦争を背景にした感動的な物語が展開され、以下の主要な登場人物が登場します。

加納百合（かのうゆり）

年齢: 18歳または14歳（資料により異なる）

役割: 物語の主人公。現代の女子高生または中学生で、母親との衝突をきっかけに1945年の日本にタイムスリップします。

特攻隊員の佐久間彰と出会い、彼との交流を通じて戦争の現実や人間関係の大切さを学びます。

佐久間彰（さくまあきら）

年齢: 20歳または21歳

役割: 特攻隊員で、百合が過去で出会う青年。誠実で優しい性格を持ち、百合を何度も助けます。

彼との恋愛は物語の中心テーマであり、特攻に行く運命が二人の愛に影を落とします。

加納幸恵（かのうさちえ）

役割: 百合の母親。シングルマザーとして百合を育てており、物語の初めでは百合との関係が緊張していますが、百合にとって重要な支えとなります。

ツル

役割: 鶴屋食堂の女将。百合を温かく迎え入れ、彼女に居場所を提供します。

戦争で家族を失った過去を持ち、特攻隊員たちにとって母親的存在です。

千代（ちよ）

役割: 勤労学生で百合の友人となる少女。

彼女も戦争による影響を受けており、百合との友情が物語に深みを与えます。

石丸智志（いしまるともし）

役割: 彰の親友で特攻隊員。明るい性格で仲間たちを盛り上げるムードメーカーです。

板倉（いたくら）

役割: 特攻隊員であり、故郷に残した婚約者を思う青年。彼の葛藤は戦争の悲劇を象徴しています。

これらのキャラクターは、それぞれ異なる背景や感情を持ちながら、戦争という厳しい時代背景の中で交錯する人間関係や愛情を描いています。

物語は、時空を超えた恋愛と戦争の悲劇を通じて、人間の絆や生きる意味について考えさせられる内容となっています。

■小説「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」の感想やレビュー

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小説「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」は、戦争の悲惨さと恋愛をテーマにした感動的な物語として、多くの読者に愛されています。

物語は、現代の女子中学生・百合が1945年の日本にタイムスリップし、特攻隊員の彰と出会うところから始まります。

この設定は、戦争という重いテーマを扱いながらも、青春の恋愛を描くことで多くの読者に共感を呼び起こしています。

多くの読者がこの作品に感動した理由は、戦争の恐ろしさと命の大切さがリアルに描かれている点です。

特に、百合と彰の恋愛が進む中で、彼らが直面する運命や葛藤は非常に切なく、涙を誘います。読者からは「マスクがつけられなくなるほど泣いた」という感想もあり、作品が持つ感情的な力が強調されています。

また、物語は単なる恋愛小説ではなく、戦争によって引き裂かれる人々の思いを描いています。

特攻隊員として出撃する彰の心情や、彼を思う百合の気持ちが交錯し、読者は彼らの運命に引き込まれます。

特に「死にたくないんじゃない、生きたいんだ」という言葉は、多くの人々に深い印象を与えています。

さらに、この作品は現代と過去を行き来することで、戦争について考えるきっかけを提供しています。

読者は百合を通じて当時の人々の価値観や思いを理解し、自分たちが平和な時代に生きていることへの感謝を感じることができます。

このようなメッセージ性が強い作品であるため、多くの人々にとって心に残る一冊となっています。

総じて、「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」は、戦争という重いテーマを扱いながらも、恋愛や命の大切さについて深く考えさせる作品です。

その感動的なストーリーとキャラクターたちの思いは、多くの読者に強い影響を与えています。

noteでの感想は…

『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら』汐見夏衛

⚜あらすじ⚜
親や学校、すべてにイライラした毎日を送る中2の百合。母親とケンカをして家を飛び出し、目をさますとそこは70年前、戦時中の日本だった。偶然通りかかった彰に助けられ、彼と過ごす日々の中、百合は彰の誠実さと優しさに惹かれていく。
しかし、彼は特攻隊員で、ほどなく命を懸けて戦地に飛び立つ運命だった――。
のちに百合は、期せずして彰の本当の想いを知る…。─本書あらすじより

⚜感想⚜
死ぬことが決まっている人、死ぬことに誇りを持っている人と、どうやって向き合えばいんだろう。
それが自分の大切な人だったら尚更どうしたらいいのだろう。
考えても、考えても答えは見つからなくて、物語の百合と一緒に動揺していました。
でも、彰の遺書を見た時に、それを超えて涙が溢れました。
現在(いま)ここで彰の気持ちが百合に伝わって、本当に良かったです。
そして、更なる奇跡に感動しました。
そのおかげで読後は暗くならずに済みました。だから、恐れず、気軽に、たくさんの人たちに、「戦争とは何か」を知るために読んで欲しいです。

私達が今、当たり前に明日を迎えれる日々を手にできているのは、本書に描かれていた様な惨憺たる思いをした人々、「戦争」という何も生まれない悲惨な戦いに征った人々の犠牲の上に成り立つ平和だと思うと同時に、特攻という不条理に納得がいかない自分がいました。
死ぬことを前提に生きるなんて絶対におかしいです。
死ねることに喜びを感じるなんて虚しすぎます。
そういう風に国が洗脳していったことにも憤りを感じます。
百合や彰の様な残酷な別れ方をさせられた人々がきっと沢山いらっしゃると思います。
二度と同じ過ちを繰り返さない為にも、若者を中心に読むべき作品だと思いました。
ラノベなので読み易いです🙂
読みながら、BGMに松任谷由実さんの「風たちぬひこうき雲」が流れてきて、切なくなりました。

♡こころの付箋♡
p72他の誰かを救うためなら、誰かが死んでも構わないの？
誰かを救うためなら自分の命を失ってもいいの？……そんなのおかしいよ
p85お国を護る為と言いながら、結局は国の財産を失っていったということじゃないか
p146……これが戦争なんだ。
国と国の争いで、政府が始めた争いで罪も無い普通の人達が命を、家を、大切なものを奪われていく。
この目で見て初めてその恐ろしさと愚かさを実感した
p173こんなにも理不尽な目にあったというのに、何もかも仕方ないで済ませてしまう。
そんなの、受け入れちゃいけないのに。
どうして怒らないの？
この時代の人達は、とにかく何でも仕方がないということまで黙って受け入れてしまう。
家を失っても、大事なものを焼かれても、家族の命を奪われても。
死んでしまった家族の前で涙を流して嘆く人はたくさんいたけれど、理不尽すぎる仕打ちに憤る人は一人もいなかった。
本当に、そう思っているのだろうか。
仕方が無いって？
大事な人の命が奪われたのに？
私にはどうしても理解できなかった
p178数日後に確実に死ぬということが分かっているなんて、異常だ。
そんな異常な状態に置かれている人達に、どんな顔をして向き合えばいい？
p182人間だから。自分の意思とは関係なしに命を奪われてもいい人なんて、いるわけない
p183誰にだって、自分の意思で生きる権利があるのに。
誰にだって、生きたいと願う権利があるのに。
この時代では、そんな当然の権利も認められていないんだ
p185特攻なんて、やっぱり不条理だ。どう考えたっておかしい
P187板倉さんは死にたくないんじゃない。
生きたいんだ。
生きなきゃいけないんだ。
愛する人のために。
たとえ自分がどんなに責められても、罵倒されても、軽蔑されることになっても、愛する人の為に生き抜くと、板倉さんは決めたんだ。
それは間違いなくとても尊いことだと思った
p189死んだら、誰も守れないよ。死んで守るなんて、間違ってるよ
p190板倉さんの生きたいという秘めた思いを聞いた今となっては、お国のために死ぬことを、崇高だとか誇りだとかいう加藤さんの言葉が、本当に本心からのものなのか、疑いたくなる
p192生き恥なんて言葉、使わないで！
生きたいって思う人を否定する権利なんて、誰にもない！
生きようとする人を止める権利なんて、誰にもない
p200私は言えない。
お国のためなら仕方ないんだなんて。
大切な人が国のために死んでも仕方がないなんて、言えるわけがない。絶対に。
p202私はワガママで自己中心的な人間だから、他の誰かが死んでも、彰だけには死んで欲しくないと思ってしまう。
でも彰は他人が死ぬのを見るくらいなら、自分が死んだ方がいいと思うのだ。
どうしても理解しあえない
p203でも……敗けるかもしれなくても、俺たちは征かなければならない。
このまま何もしなければ日本は確実に敗けてしまう。
だが、俺たちが征けば、一機でも一艦でも多く撃墜できれば、たとえ万にひとつでも勝てるかもしれない。……だから最後まで粘るんだ
p209当たり前のような、またねの言葉。
未来が来ることを、こんな時代でも人々は信じて疑わない
p218悠久の大義。
軍人たちが好んで使う言葉だ。
戦争に行って死ぬことを大義だと言っているのだ
p242私たちは、日常的に命の危機を感じながら生きたりする必要はない。
こんなに満ち足りた生活をしていて、あの頃の私は、一体何が不満だったんだろう。
現代の日本は、本当に幸せだ
pたくさんの苦しみと悲しみと犠牲の上に築かれたこの新しい世界で、私達は、これからも生きていく